△月〒日


さて、最近の流行はアレなのだろうか。
そう…彼女or彼氏を作る事だ。
昨日の美谷リカとたれ目やら、鬼条サキやらミンクやら…。
針山と橋本もそれに入るかさておき。
もしかしたら、今のこの瞬間にもカップル成立しているのかもしれない。
そう…例えば大具と風島とか…ブフッ…!
ちょっと想像してみたら凄い事になった。
うん、ある意味良いコンビかもしれないね(棒読み)

まぁそんなくだらない話は置いといて、本日やっと影林幸子を発見した。
朝礼の時ようやく見つけたのである。
さて、私が彼女を訪ねた理由はただ1つ。
「夢宮をどうにかしてほしい。」
実はこの影林という女はマッドサイエンティストで、怪しい薬等を作るのが得意なのである。
なので、夢宮をぐっすり寝かせられる薬を頼んだ。
まぁ少々値は張るが背に腹は代えられない…。
フッ…夢宮め…首を洗って待っているが良い…!

△月‡日


さて昨日薬を夢宮に与えた今日のお目覚めの時間は…

早朝2:00だった。

な…なんだこの夢宮とかいう女…。
薬を盛ってもかわらない…いや寧ろはやくなっている!
ば…化け物なのか!?
とりあえず声をかけてみよう。
薬が効いてなくて寝ぼけてるのかもしれないし…。

「ゆ…夢宮さん?今日もお早いお目覚めね…?」
「うん♪なんだかよくわかんないんだけど昨日はぐっすり眠れたんだ*
ミカボンにもらったジュースのおかげかも☆…なんてね★」
「そ…それは良かったです。又作りますね。」
「わーい♪アリガトーミカボン☆」
「はい………ハァ…。」

……後で気付いたのだが薬の効果は実は短時間でよく眠れる、というものだったらしい。
確かにぐっすり寝かせられるとは言ったが….
これだったら自分で飲んどけば良かった、と今更ながら後悔した。
結局今日は影林が見つからず文句も言えなかった。

△月■日


今日、見てはいけないものをみてしまったかもしれない。
いや、鬼だって裸足で逃げ出すだろう形相の橋本さんに血祭りに上げられた針山の姿が、教育上あまりよろしいものではなかったとかじゃなくて。
そんなものはどうでもいい。

…樹下さんである。

それは、お昼休みのこと、食堂の安くて不味くて量が多いとの評判の食事をとった後、教室に帰る時だった。
私はだーれもいない2階渡り廊下を静かに、普通に歩いていた。
そこからは学校内から唯一中庭全体を望むことが出来る場所だ。
だからたまぁ〜に、ここから、中庭で隠れて、いけないことをしてみたり(たまにここを通る先生に見つかるお馬鹿さんもいる)、おやまぁ桜の木の下で青春が見えるなぁとか(見てるこっちが恥ずかしいわい)、というのが見える。
そういうのを期待したわけじゃなく、なんとなく中庭に目をやると、桜の木の下に携帯を手にした樹下さんがいた。
一人でこんなところにいるなんて、珍しいなぁ、と思っていると、誰もいないことを確認するように周りを見回して、携帯を開き、番号を打ち込み、耳に押し当てた…どこかに電話しているようだった。
電話で何を話していたのかは分からないが、普段見せることのない、やけに緊張したような硬い表情だった。
そのどこかおかしい風景に目を奪われ、足を止めていると、いきなり私のいる方を振り返ったのには吃驚だった。
慌てて、窓から離れた。その後、また好奇心で窓を覗き込んでみると、彼女はまだ喋っていた。多分、見つからなかったんだろう。何故かほっとした。
その電話を切る際に、彼女は微笑を浮かべた―冷たさと憎しみが滲み出た微笑を。
それは、樹下さんが普段浮かべている笑顔とは、まるでかけ離れたもの―いいや、この歳の少女のものとは思えないだった。
一体なんだったんだろう…。

△月$日


そういえば、夢宮に超絶迷惑な時間に起こされて、慢性的な寝不足に陥っている事は前々から日記につけているが、起こされて何をされるかは書いていないことに気がついた。
うん、一応書いておこうか、私の寝不足の原因。

で、起こされて何されるかといえば、夢宮が私を起こす前までに見ていたとか言う、夢の話を延々聞かされるのだ。
いやー、もうそれが夢宮らしいというか、鼻で笑い飛ばしたくなるようなふざけた夢で、いちいち起こされて聞かされる身にもなってみろやい!とキレたくなるような内容。
おかげさまで、その時間は顔の筋トレ状態だ。笑顔を維持するのに、顔の筋力がこんなに鍛えられるなんて知りたくもなかったっつの。
その内容とは…ヤツがなんかワケ分からん掛け声と共に登場して、この学校の平和を乱そうとに現れたでっかい化け物と闘うのだそうな……そりゃ、明らかにアニメの見過ぎだ。
しかも、その闘いっぷりが間抜けで間抜けで…
”いやぁ、屋根から飛び降りてね、でっかいゴ●ラさんみたいなのの前にかっこよく登場しようとしたんだけどね、そこで顔から着地しちゃったんだよミカボン、凄い痛かったよー。”とか、”でねでね、その●ジラさんみたいなのにね、もう3分経っちゃいそうだったから、必殺技ぺかぺかビーム打ち込もうとしたんだけどね、間違えて校舎に打ち込んじゃった、てへ♪”とか、のたまってらした。
いやぁ、とても夢宮さんらしい夢ですね――顔の筋肉を精一杯使いながら作り出した笑顔で私はそう答えるしかなかった。

学園の平和を乱す化け物より、私の安らかな眠りを乱す夢宮という化け物を退治して欲しいと切に思う…。

*月★日


今日は先生に頼まれたので実験の手伝いをした。
うちの担任は工呂飛作と言い通信機や武器等様々な物を作るスペシャリストだ。
正直いって彼自体は変人だが、
彼の作る武器は手がこんでいて、
武器を扱うものとしても惚れ惚れする出来前だ。
何故この学校の教師になっているといえば、
おそらくその人間性だろうと予測する。
でもまぁ手伝いは勉強にはなると思う。

そういえばこの前の樹下さんを見て以来、
部屋が荒れている気がする…。
なんだか気味がわ…



「…フーンこんな事書いてたのね」
そう言うと少女はノートを閉じた。
「まさかこんな子に見つかるなんてね…まぁいいわ。
なんにせよこのノートさえあれば思い出すこともないし記憶を消しても怖くないもの」
といって少女はミカの髪を撫でた。
「ごめんね。すぐ終わるし。苦労は忘れた方が良いでしょ?
悪いのは私の本当の姿を少しとはいえ知ってしまった貴女だからね…」
そう言ってその少女『樹下桜』はペンライトらしきものを頭にあて、
小さくて聞こえないが何かを言っているようだった。 しばらくしてノートを持って部屋を後にした。
ミカはその一連の動作も何も知らないまま机にふして寝ていた。
普段の彼女なら机で寝るなんて有り得ないことであろう。

しかしもっと有り得ない事が彼女の身に起こっていた。
そう何故机にいるのか、今まで寝る前に何をしていたのか、
此処数週間の出来事…

全てを忘れている事を彼女は知らなかった。

「末未さんにはこれから始まる惨劇の役はないのよ…委員長さん…これからも仲良くしてくださいね」

ぼんやりとした眠りの中、樹下桜の声が風に乗って聞こえたような気がした。